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「業績軸」から「幸せ軸」へ

始まった企業経営のパラダイムシフト

 「業績軸」から「幸せ軸」へ。日本の「いい会社」の価値観が、今、変わりつつある。それは、2008年に発売された『日本でいちばん大切にしたい会社』 が大ベストセラーになったことが証明しているといえるだろう。 なぜ、人を大切にする「幸せ軸」の経営が、安定的な好業績につながるのか。 2014年9月、幸せ軸経営実践の指南書『人本経営「きれいごと」を徹底すれば会社は伸びる』を上梓した小林秀司さんと、その師であり、 同年9月に発足した「人を大切にする経営学会」の会長、そして『日本でいちばん大切にしたい会社』の著者である坂本光司さんとの対談から、その真理を導いていく。


たとえ景気が良くなっても 人材が集まらない会社に未来はない

小林

かねてより坂本光司教授は、経営学において利潤を極大化することが当たり前のようにいわれていることに、異を唱えていらっしゃいました。 そうではなく、人が幸せになることが経営の目的である、と。著書『日本でいちばん大切にしたい会社』では、「業績軸」から「幸せ軸」への パラダイムシフトが起きていると指摘されています。私も、先生と著書に出会ってまさしくその通りだと思い、それを世に広めるための活動をさせていただいております。 そしていよいよもって今、拝金的な資本主義から良心的な人本主義へ、社会的レベルでの大きな価値観の転換が起きています。このことを先生はどう感じておられますか?

坂本

私も若い頃は業績を上げ、自社を発展させ、ライバル企業を打ち負かすことが、経営学として正しいと思っていました。 しかし現場を回るうち、次第に気付き始めました。
 確かに、大多数の企業は利潤の極大化を目的とする「業績軸」で経営をしている。しかし少数派ながら、かかわる人々のモチベーションの極大化を目的とする 「幸せ軸」で経営をしている会社がある。しかも少数派ゆえに目立たないけれど、安定して業績も伸ばしている。その事実を知るにつれ、どうやら「業績軸」の 経営学は違っていた、このことを多くの学生や経営者に知らせていこうと、活動するようになりました。
 正直、経営学の世界では、異端中の異端でした。「もうけよりも、幸せの方が大切?何をいっているんだ」という目で見られて、つらい思いもしました。 しかし、バブル崩壊の頃から、このことに関心を持つ経営者が増え始め、リーマンショック、東日本大震災という、大きな社会的衝撃に見舞われたことで、 流れは決定的になりました。
 今、多くの人が「業績軸」ではなく「幸せ軸」でこそ企業は永続できると気付き、それを実践しようとしています。私のところにも「相談したい」と連絡をくださる 経営者が続々と増えています。世の中が変わってきていることを実感し、素直にうれしく思っています。

小林

いつか景気が戻ってくるだろうと思っているうちに20年が経ってしまい、ようやく「幸せ軸」の人本経営に舵を切るしかないことに気付き始めた経営者もいると思います。 先生は、「いい加減な経営者には恐ろしい未来が待っている」とおっしゃっていましたが、その意味をもう一度ご説明いただけますか。

坂本

これまで経営学的には、企業の成長や衰退を決定するのは有効需要があるかないか、極端にいえば市場の有無が企業の盛衰を決めるのだ、といわれてきました。 一方、私は多くの企業の研究をしてきて、市場があろうとなかろうと、景気がどうであろうと、一度も不況になったことのない会社がある事実から、 企業の盛衰を決めるのは需要の原理ではなく、供給の原理なのだと学びました。
 市場は、なければ創造すればいい。大切なのは、いかにその市場にタイムリーに、価値ある商品やサービスを提供できるかであり、その供給をするのは社員です。 ところが、社員をコストとしか見られず、景気の調整弁にしているような「いい加減な経営」をしている会社には、優秀な社員は集まってこない。あるいは、育たない。 辞めてしまう。お客さまだって、人を人とも思わないような会社の商品は買おうとしなくなる。
 恐ろしい未来というのは、この先どんなに景気が良くなっても、そのときに対応できる人材がいない未来です。有効な供給ができなければ、会社はつぶれてしまいます。 今後、ますます少子高齢化が進み、人材不足の時代が続きます。そういった状況はより顕著になってくることでしょう。

平成生まれの若者の会社選びの価値基準も変わってきた

小林

先般、人材不足のために休業に追い込まれた飲食店のニュースが報じられました。恐ろしい未来が現実化してきています。

坂本

特に若い人たちが「幸せ軸」の重要性に気が付いています。人はみな、幸せになるために生まれ、幸せになるためにがんばっている。 それなのに、がんばっても未来が見えない。または、目の前で弱き人が切り捨てられる。人間の尊厳を踏みにじられる。そんな会社からは、人は去っていきます。 辞めないまでも、仕事に本領を発揮しなくなります。 社員がおざなりな対応をすれば、お客さまは離れていきます。人を大事にしていない会社は、間違いなく滅びますね。

小林

若い人たちの中でも、平成生まれの価値観は、従来とは大きく変わってきています。世の中や人の役に立つ喜びを重視し、 それを実感できない会社を辞めることにちゅうちょがありません。逆に人を大切にする会社は、そういう若者が入ることによって、非常に伸びる気がします。 このことが、5年先、10年先、企業にとって大きな差になってくるのではないでしょうか。

坂本

学生や親御さんからいただく手紙やメールの内容も変わってきました。ある有名大学の学生さんは、 「自分の就職観は間違っていた。これまでは給料や休日、企業のブランドで会社選びをしていたが、給料が低くても、家族同然に社員を大切にする企業を探します」 といってきました。また、「子供には、せっかくいい大学に入ったのだから、有名な会社に入ることを勧めていました。しかし、その会社はひどいリストラをしていました。 今は、人を大切にする温かな会社に行きなさい、といっています」という親も増えています。経営者は、この事実をしっかりと受け止めた方がいいでしょう。

小林

私は、「なぜ、この会社は人材が集まるのか」をテーマに多くの会社を訪問しましたが、人が集まる会社はやっぱり、 明るくて社風がいい。社風に憧れて、またいい人材も入っています。

坂本

いい会社は、社屋に入った瞬間わかります。空気が違うんですよね。ぬくもりを感じるというか。そういう会社には、心根の優しい、優秀な人が集まってきます。 なぜなら、誰だって幸せになりたいですから。一生のかなりの部分を会社の仲間と過ごすことを考えたら、ギスギスとした職場で働くのは苦しいでしょう。 いかに優秀な人材を確保するか。企業はそれを考えなくてはなりません。

小林

ある企業は、面接をせず、履歴書も見ない。自分たちが大切にする経営理念や行動指針についてのグループワークをしながら、 徳のある人かどうかを判断して採用を決める。それが結果的に、高学歴の人だったそうです。

坂本

最近は採用の判断基準も変わってきました。才能、学歴よりも、徳や人柄で選ぶ。私はよく、会社のトップや管理職を選ぶときも、才能がずば抜けて高い人より、 むしろ、徳の高い人を選びなさいといっています。そうした方が、家族的なぬくもりのある、みんなで助け合える会社になる。 人間一人の力なんて小さいものです。誰だって体の調子が悪いときもあれば、家族に病人がいて仕事に集中できないこともある。誰もが等しく年を取るし、 世の中に障がい者がいるのも普通のこと。だから助け合う。しかし、「業績軸」で経営をし、極端な成果主義に走ってしまうと、助け合う風土は薄れ、社内がとげとげしい 雰囲気になってしまう。私は、過度な成果主義を取っている会社で、安定的に業績の高い会社に出合ったことがありません。
 以前、自著でも紹介しましたが、愛知県の株式会社樹研工業は、100パーセント年功序列で、定年がない会社です。今、いちばん年上の社員は70歳を超えていますが、 いちばん仕事ができるのは40歳代の社員。でも、年功序列賃金ですから、給与は70歳の人の方が高い。普通なら「やってられない」と思うでしょう。 でもここの社員はそうは思わない。「自分がまだ何もできなかった20歳代の頃に、一生懸命仕事を教えてくれました。今はお返しのときです」という。 そして、自分が年取ったときにも、そうしてもらえるだろうことを信じています。これが、日本的な経営の強みだと思います。

小林

若い人たちからすれば、目の前にいる高齢者に自分の将来を見ているわけですから、モチベーションも上がりますよね。

坂本

その通りです。これが逆に不当な扱いを受けていたら、「この会社で60歳は迎えられない。いずれ転職しよう。そのために力を蓄えておこう」と、 全力で仕事をすることはやめてしまうでしょう。60歳代でも70歳代でも「働きたい。身体的にはまだまだやれる」という社員に、それも、 世のため人のために働きたいといっている人に、ルールだからとチャンスを与えない企業は「幸せ軸」ではありません。

幸せ軸経営を学び、研究し、広める「人を大切にする経営学会」発足

小林

「幸せ軸」の人本経営では、経営により近い人から順に満足を高めていくことが原則的な考えです。先生は、会社が実現すべきなのは、 第一に「社員とその家族の幸せ」、第二に「社外社員(外注先や下請け会社の社員)とその家族の幸せ」だとおっしゃっています。

坂本

仕事をする上で家族の協力は欠かせません。社員はもちろん、その家族を、さらには社外社員とその家族を大切にしましょう、ということです。 たとえば岩手県の株式会社小松製菓は、社員の家族の誕生日にケーキをプレゼントするなど、まさに一つの家族のような会社です。 南部せんべいのメーカーとしては後発組ですが、業界トップとなりました。これも社員が「ここまでやってくれる会社のためなら、がんばろう」と、 良いサイクルを生んだ結果。人本経営の代表的な成功企業の一つです。

小林

「幸せ軸」へのパラダイムシフトが明らかになっている今、満を持して、2014年9月23日、「人を大切にする経営学会」が設立されました。その思いを聞かせてください。

坂本

この学会を作ることには、社会的な意義があると思っています。設立の目的は、大きな流れとなっている価値観の転換を決定的なものにするためであり、 「人を大切にする経営学」を理論化、体系化し、大学の経営学教育に定着させたいと考えています。学会になることで権威付けにもなりますし、みんなで研究し、 成果を発表していくことで、さらに理解者が増えれば、それだけ幸せな人も増えていきます。また、より多くの経営者が「とうとう学会も動き出したのか」と、 「幸せ軸」を意識してくれることにも期待しています。入会は、志さえあれば誰でもできます。もしかしたら後世の歴史では、9月23日が、 この国の経営学の歴史的転換期として記されているかもしれませんよ。

小林

経営者、弁護士、医師、社会保険労務士など、入会者が続々と集まってきていますが、どなたにも強い志を感じます。 この学会が世の中にどのように浸透していくのか、当事者の一人としてとても楽しみです。

坂本

この学会には、「幸せ軸」で成功している企業の経営者も多く参加します。そこでノウハウを公開し、人を大切にする会社を増やそうとしています。 優秀な経営者ほど、オープンなもの。みんなで美酒に酔いしれる、みんなが幸せを実感できる、そういう世の中の方が正しいに決まっているじゃないですか。 学会ではそういった事例共有のほか、人を大切にしている会社に視察訪問も、頻繁に行う予定です。実際に人を大切にして業績が高くなった企業を見れば、 こんなに説得力があることはないでしょう。

小林

成功している企業に行って、その空気に触れるだけで意識は変わるでしょうね。資本主義社会は、産業革命によって主流になりましたが、 これからの人本主義社会に必要なのは、意識革命だと思っています。

坂本

そう、百聞は一見にしかず。人を大切にする経営なんて理想論じゃないか、学者の戯言じゃないか、と思っている人もいるかもしれませんが、 私たちは事実を示して、実現可能なことしか提示していません。そんなこといったって、やっぱりいちばん大切なのは顧客だし、株主だろう、とおっしゃる声もあります。 もちろん、お客さまも株主も大切ですが、そのお客さまも株主も、喜ばせるのは、社員と社外社員(外注先)です。自分の所属する組織に満足感のないような社員が、 赤の他人であるお客さまに、いいサービスを提供できるわけがありません。そのことについても、この学会で学んでもらえるといいですね。

 人を大切にする会社に行き、幸せな社員の顔と、業績が高いという事実を見せつけられれば、どんな経営者も、ああ、自分の経営学は間違っていた、と 気付いてくれるでしょう。ここが震源地のようになって、次第に人を大切にする会社が多数派になっていけば、 再び、この国は世界から尊敬されるようになるのではないか。そんな日を、私は夢見ています。

人本経営の実践では 総務・人事が大きな役割を果たす

小林

一つアドバイスをいただきたいのですが、「幸せ軸」の大切さに気付いたのが二代目の社長で、先代の社長が「業績軸」で成功していた場合、 変革しようとしても反対されてしまうケースがあります。そういった場合はどうすればいいでしょう。

坂本

先日、宮城県気仙沼市の会社で同じような話がありました。現社長は二代目で、会長はカリスマ的な創業者。震災によって工場のほとんどが全壊し、このままでは800人の社員を抱えたまま、 経営は立ち行かなくなる。経営陣で話し合い、やむを得ず希望退職者を募ることになった。しかし、社長は悩み抜いた末に、「一人も解雇しない」と決断した。 被災して家を、財産を、地域社会のコミュニティーを失って、この上会社とのつながりまで失ってしまったら、自分だったら生きていけない。どんなにリスクが高くても、 社員は解雇しない、と。その気迫に、会長は何もいえなくなったそうです。
 私は、この会社の社員にお会いしましたが、みなさん、モチベーションがものすごく高い。「社長のためなら死んでもいい」というくらいの思いで仕事に向き合っている。 結果としてこの会社は、もう少しでピーク時の業績に戻るところまできています。もしあのとき社員を解雇していたら、社員は地域のお客さまでもあるわけで、 そんなことをする会社に、いいイメージは持てなくなっていたでしょう。
 このケースにかかわらず、経営とは社員とその家族の命と生活を預かっているわけですから、命がけです。 会社にとって都合がいいかどうかで決めてはいけません。社員は、リーダーの背中を恐ろしいほどよく見ています。 誰よりも一生懸命に働き、後ろ指をさされないような生き方をしなければ。ブレたらだめです。

小林

確かに本気の心というのは、社員に伝わります。ぜひ、「幸せ軸」の大切さに気付いた経営者には、いかなる反対にも一歩も引かないという思いで、 いい会社を作っていってほしいですね。そして当然、経営者が人本経営を目指すとなれば、その経営者を支える総務や人事などの管理部門の役割も変わってくると思います。

坂本

人本経営にもっとも主体的に取り組んでほしいのが総務です。総務は社員が気持ちよく、いい仕事ができるように環境を整えたり、 この会社に属している喜びをかみしめられるようにすることが仕事ですよね。まさに人本経営そのものです。それが「業績軸」に走ったら、現場は余計に疲れてしまう。 管理するのではなく、一日も早く「幸せ軸」でタスクをこなしていけるようになってください。
 会社の中枢部隊としての自信と誇りを持って、人本経営を主体的に進めていってほしいと思います。

小林

私も社会保険労務士として、労務管理とはいっていますが、これからの総務は、労務管理ではなくて、「幸せ支援」というような方向に向かうように思います。 ますます総務の果たすべき役割は重要になっていきますから、みなさん、一緒にがんばっていきましょう。

坂本光司     Kouji   Sakamoto

<プロフィール>
人を大切にする経営学会 会長
法政大学大学院政策創造研究科 教授

1947年、静岡県生まれ。専門は中小企業経営論、地域経済論、福祉産業論。法政大学大学院中小企業研究所所長、経済産業省委員会委員、 経済産業大臣賞・中小企業庁長官賞「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」審査委員長など、国や自治体の公務も多数兼任する。 徹底した現場主義で、これまで訪問調査、アドバイスした会社は7,000社を超える。累計で65万部を突破した著書『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズ(あさ出版)ほか、著書多数。 自らが代表発起人となり、2014年9月23日、「人を大切にする経営学会」を設立。



小林秀司     Hideshi   Kobayashi

<プロフィール>
社会保険労務士
株式会社シェアードバリュー・コーポレーション(SVC)代表取締役

1960年生まれ。大学卒業後、株式会社日本マンパワー等を経て1997年に独立しSVCを設立。 2009年より坂本光司教授に師事し、現在も法政大学大学院中小企業研究所特任研究員を務める「人を大切にする会社づくりのトータルプロフェッショナル」。 「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」創設にも深く関わった。内閣府委嘱・地域活性化伝道師、国立島根大学非常勤講師・島根県立大学非常勤講師。 著書に『元気な社員がいる会社のつくり方』(アチーブメント出版)等。『月刊総務』にて「人を大切にする会社づくり」をテーマに連載中。



人を大切にする「幸せ軸」の経営こそが景況に左右されない安定的な好業績をもたらすという事実

社会保険労務士としての自身の最大の使命と責任を、「労働トラブル等の問題が決して起こらない『人こそを大切にするいい会社』づくりの手伝いをすること」 と定義し、多くの中小企業・団体や自治体のコンサルタントを務める傍ら「いい会社」研究を続け、経済産業大臣賞・中小企業庁長官賞 「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」にも深く関わった小林秀司氏が、その成果を余すところなく記した、経営者、マネジメント層必読の一冊。